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406 神谷崎=田辺市文里一丁目(和歌山県)ええっ!、これでもまだ岬なのか…? [岬めぐり]

 田辺市は大きな市である。海岸からいちばん遠い県境の山(和歌山県最高峰)までは40キロ以上もある。だがそれなのに、その海岸線は直線距離で8キロ足らずしかない。そして、その市域のなかに、中高年がわんさと押しかけてコケをはがしまくっているという熊野古道の中辺路と熊野本宮大社も、すっぽりとおさまっているのである。これは、「市」としてはちょっとすごい。
 紀伊田辺駅前でレンタサイクルを借りて、大通りを海岸へ向かい、そこから一路南東へ、神谷崎を目指す。
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 この岬は、一風変わっていて、文里港という港の出入口岩壁の標識灯が立っているところがそうだと、地図には表記(国土地理院と現Mapionにはあるが、ZENRINでは当然のように無視)してある。ええっ!、これでも岬…?
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 古くは、ここに自然の岬があり、それが築港にともなう工事で消えて岩壁と突堤となり、名前だけが残ったとも考えられる。状況証拠的には、そういうニオイがする。となると、なぜここだけ消えたはずの岬の名が残っているのだろう?
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 文里港は、四角く(というのは海上保安本部の建物がある辺りから眺めると、感覚的にそう見えただけで、実際にはでこぼこしている)奥深い港で、だいぶ昔からあるようだ。港の奥には紀伊新庄の駅がある。港の対岸には森林管理署があると、地図には書いてあるので、紀州の山林からの材木積み出し港であったのだろう。港のなかは結構広いのに、その港口は極端に狭い。海岸線は短いのに奥が深い、田辺市域と似ている。kamiyazaki07.gif
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 西側にはもっと新しい港も海岸にできている。その隣に古い堤防と道路に続いて、できたてほやほやの埋立地が広がっている。
 国土地理院の“ウォッちず(電子国土)”では、まだこの新たな国土が記載されていない。地面の養生中、できたての領土の縁を自転車でぐるりと回ると、古い堤防にぶっつかって途切れてしまう。しかたがないので、自転車をかついでよっこらしょと堤防を越えた。
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 今更のように言うことではないし、防災をとるか自然をとるかといった二元論で無意味な議論をするつもりはないが、日本の沿岸では自然の海岸はどんどん少なくなっており、その原因は防波堤工事(付・道路工事)と埋立てによるものが多いはずだ。
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 それは、こうした港湾の改修拡張にともなって、ついでのように行なわれるものもあれば、大規模な計画によるものもある。都会の周辺では、もう感覚はマヒしてしまっているので問題にもならないが、人工砂浜をつくれば、そして若干の漁業補償をすればそれが免罪符となり、あとは天下御免ということになるという理屈は、どうもいまだにうまく呑み込めない。
 せめて、公有水面の埋立地の計画と利用は、公共目的に限るとかなんとかすべきだろうが、それでは土地の性格が限られてしまう。“神戸市株式会社”だと皮肉られた神戸の埋立島にしても、確かにマンションもオフィスビルもあるが、ほんとうにこれがいいのかという疑問は残る。
 あれは、確か昭和30年代だったと思うが、松下幸之助は日本の将来を考えて、東京湾を富津岬まで埋立てようという提言をした。詳しいことは忘れたというより知らないが、その当時は「おとぎ話」か「山師のホラ」のようにしか受け止められず、好意的な反応は少なかったと思われる。それ以降、彼自身が国策や政策についてそういう具体的な提言をすることは一切なくなったが、その止み難い憂国の情は「松下政経塾」のような形になっていったのだろうと、今はよく理解できる。すでに「松下電器」もなくなったが、その思いが政治に活かされることはあるのだろうか。
 この田辺の埋立て海岸にも、扇ヶ浜に人工砂浜があり、公園ができている。この海岸の遊歩道は快適だがつながっておらず、途中で旗島という小島と飛び出した岬で遮断されているので、ここで海岸から離れて大通りに戻らないといけない。そこに「三壷崎」というバス停があるので、ここにも埋立てで消えた岬があったのだろうと推察できる。
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 大きい道路脇に小山があり、神社の鳥居があるが、ここが地図に史跡マークのある磯間岩陰遺跡だ。この崖が海食崖で、古くはここまでが海岸だったことを示すと同時に、この奥の岩陰を選んで縦穴式住居をもった古代の人々の営みを伝えている。
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 再び神谷崎から来た道を北へ、扇ヶ浜まで戻ってくると、なにやら音がする。みると、そのそばの海岸から、今まさにヘリコプターが飛び立とうとするところだった。そうか、これがうわさの「ドクターヘリ」なのだ。和歌山県では、和歌山市の県立医科大学附属病院が、この運用をしている。

▼国土地理院 「地理院地図」
33度42分55.95秒 135度23分36.03秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2009/01/25 訪問)

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タグ:和歌山県
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きた!みた!印 6

コメント 2

dotenoueno-okura

造成・港湾工事で“消えた岬”も多いはず。伊能忠敬が見たら「おや、たしかここは?」と首をかしげるでせう。
文里港は視力検査表の「下向きのCマーク」を連想するユニークな地形で、土建屋ならずとも「この狭い入り口をふさいで埋め立てれば土地がふえる」などと考えそう。ほうですか、松下さんはそんなアホを言ったこともあるとですか。
毎度ながら、放置された(やうに見える)自転車からいろんな物語を想像します。行き止まりの図もおもろい。もしもこの低い壁がなかったら……とこれまた妄想をかきたてられます。
紀伊田辺駅で紀伊国屋書店と田辺茂一を想起するのは平凡だけど、関係あるんでせうか。
by dotenoueno-okura (2009-04-20 18:32) 

dendenmushi

@田辺茂一については、今日の407で補足しました。いやいや、でんでんむしは松下幸之助のいったことは、いくつかの点で評価すべきだと思っているのですよ。
 それは、ひとつには、今の東京湾を見て思うことです。
 千葉の製鉄所や、幕張の埋立て、遊園地への大規模埋立ての許可、東京港周辺やお台場のなし崩し的埋立て、そして東京湾アクアライン…。
 こういうのをみると、松下さんのような長期的総合プランがないほうがおかしいと思うのですがねえ。
by dendenmushi (2009-04-22 05:53) 

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