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681 襟裳岬(その2)=幌泉郡えりも町字えりも岬(北海道)なにもない岬で風に立つもの [岬めぐり]

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 「えりも町字えりも岬」という地域は、南北に細長く延びていて、日高山脈の南端にあたる豊似岳の麓を走る336号線の南から襟裳岬の突端まで、15キロ近くに及ぶ。東側の北寄りは庶野で、百人浜の大半を占める。反対の西側の役場のある東洋も細長く延びて、岬の先端を灯台付近でえりも岬地区と分けあっている。
 えりも岬の市街地からだんだんと半島の幅が狭くなり、尖るようにして南東に突き出る岬の先端部分は、岩の出っ張りとばらばらの岩礁地帯となって、海に没していく。
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 周囲には、あまり建物もなく、一本の木もなく、強く吹き抜ける風が、一段と荒涼とした気分を盛りあげる。
 「これぞ岬!」というような風景の頂点は、標高70メートルの台地で、その周囲は断崖絶壁が覆っている。いちばん高いところの平地には、あまり背の高くない白い灯台が囲いも柵もなく、ずんぐりと立っている。この灯台が点灯したのは、1889(明治22)年。
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 一帯は公園として、整備管理がされていて、やっと雨が上がった朝早くから、数人の人が草刈り機のモーター音を響かせて、灯台周辺で作業を始めていた。
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 灯台のそばでは、“襟裳岬「風の館」”という施設が、崖の中に埋め込まれているが、整った園路でその上を行くと、風速計をイメージしたようなモニュメントともに二種類の歌碑がある。
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 黒い御影石が立つひとつは、百人浜の緑化再生事業に携わってきた人々のことを謳った天皇の御製であり、ひらべったく長い歌詞がふたつ並んでいるのは『襟裳岬』の歌碑である。
 実は、『襟裳岬』という同名歌は、ふたつあって、ここにはそれがなかよく並んでいるのだ。
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 “歌の力”が、これほどまでに広く大きく意識されたことは、近頃これまでなかったかもしれない。ひとつの歌が大きく人々に影響するのは、短い歌詞の間に、個人個人が自分の気持ちを、仮託することが容易だからであろう。
 吉田拓郎が曲をつけた岡本おさみの詞には『旅の宿』というのもあるが、なんといっても『襟裳岬』であろう。森進一が歌ったというので、演歌歌手がフォークを歌うと話題になった。なかなかの名曲といってよく、襟裳岬の名は、なによりこの歌によって全国的に広まったといっても過言ではあるまい。でんでんむし自身も、この歌によって長い間、まだ見も知らぬ岬の情景を思い描き、いつか必ずそこへ行ってみたいと思ってきた。

  ♪えり〜もの春は〜 なにもない 春です〜ぅ
  
 「なにもない」というこのフレーズは、当初地元の人たちの自尊心にいささかの刺激を与えたようで、いくらかの反発があったことは、いくつかのニュースにもなったので東京にいてもその空気はわかったほどだった。
 だが、「なにもない」というこの一語が、語り尽くせぬほどの思いや、数限りないイメージを増幅しかきたててくれた。
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 この歌が発売された1974(昭和49)年当時は、まだ地域PRの概念も広く行き渡っていたとはいえない時代。そのヒットによる波及効果なども、予測できなかったのだろう。
 もうひとつの『襟裳岬』の歌碑は、島倉千代子の歌で、こちらは森進一のより10年以上も前にリリースされていたのだ。74の年の紅白では、大ヒットした“森効果”で再びスポットライトがあたり、同名異曲の歌が並んで歌われるといったこともあった。

 ♪風はヒュルヒュル 波はどんぶりこ

 という丘灯至夫の詞に、曲をつけたのは遠藤実であった。
 岬の上に置かれた歌碑でも、島倉版のはその発売10年後の1971年には森版が出る前にもうできていた。後発の森版『襟裳岬』の歌碑が、それと並んでできたのは1997(平成9)年のことだったのである。
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 岬には、民宿や漁師の家らしい建物や浜小屋も数軒あるが、それらは全部岬の東側の斜面にへばりついている。岬の入り口の広い駐車場のところには、土産物屋が二軒、これも東寄りにある。
 ヒュルヒュルと、絶えず岬に吹き寄せる風は、東風である。カメラのレンズにも、風と一緒に水滴がかかってくる。
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 歌碑周辺の園路にも、風よけになる工夫もされているが、そこから南東の岬の先端へ降りていこうとすると、その風が急に力を増し、吹き飛ばされそうになる。
 あまりに岬の風が強いので、断崖の上の細い傾斜路の尾根を歩くのにも不安があるほどだ。草の斜面を迂回して、突端に向かう。
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 先端の岩場の上には、かつては神社など建物があったらしい礎石のような石やコンクリートが露出していて、わずかに残る鳥居や棒と囲いだけが、過酷な自然に立ち向かおうとしたものの結局退くしかなかった人間の限界を示しているようでもある。
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 襟裳岬は、日本屈指の強風地帯で、“風極の地”と呼ばれているのだという。確かに、こう風が絶えず強く吹いていては、「なにもない」ほうが自然でよい。その風の中にちょっと身をかがめるようにして、だがしっかりと立っている灯台は、やはりえりもの町のシンボルなのだ。
 “風極の地”では、昨日まで灯台公園を舞台に「えりもの灯台まつり」が開かれていたらしい。
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▼国土地理院 「地理院地図」
41度55分33.70秒 143度14分41.35秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2011/07/14〜15 訪問)

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タグ:北海道 灯台
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コメント 2

ぱぱくま

夏場でもひゅるるーですから
冬には相当な風が吹き付けるのでしょうね。
自然の威厳たるものを感じますね。
by ぱぱくま (2011-08-17 23:15) 

dendenmushi

@「ひゅるるー」ですか。それだと同じ森でも森昌子のほう。『悲しみ本線日本海』になってしまいますよ〜。笑)
 いつもそれは思うのです。冬の北の岬めぐりは、いつも避けてきていますから…。
by dendenmushi (2011-08-19 05:54) 

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