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687 トッカリショ岬=室蘭市母恋南町(北海道)「行き先にそこを指定するお客さんは初めてですよ」とタクシードライバー [岬めぐり]

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 予報のお約束通り、雨は盛んに降っており、やむ気配も小降りになる様子もないまま朝を迎えた。朝食がプロレスの団体といっしょだと、ちょっとビビってしまいそうだが、こちらも時間をずらす余裕もないので、ここは遠慮なくレストランに向かうと、意外にも空いていて、それらしい人もいない。
 しばらくして、どやどやとやってきたのは、運動部らしいいい体格をした高校生のグループであった。なるほど、そんな大勢がバイキングのテーブルをがっちりスクラムでも組んだように囲んでしまうと、ほかの客はどうにもならない。当方は、幸い先行しているので、後は逃げるだけ。
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 行き止まりの室蘭本線は、室蘭本線から分かれて、東室蘭からフック船長の義手のような形をした絵鞆半島に入って行く。この“絵鞆半島”という名はどの地図にも表記がないが、室蘭市などではかなり頻繁に使っている。
 フックの外側は断崖と山が続き、内側は湾と工場地帯が広がるので、線路も内側を行く。終点室蘭のひとつ手前の母恋(ぼこい)駅で降りたのだが、土曜日のせいかあるいはこの雨のせいか、人影もなく静かである。
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 “母恋”とあれば“ははこい”と読みそうなものだが、ここではその音からするとやはりアイヌ語源に関わりがあるのだろうか。小さな駅舎の駅名板の上には、「母恋駅入場券」のより大きな看板があり、その隣には駅弁の看板、そして右脇には灯台の看板がある。第一、入場券の看板が駅の入り口の上にある、というのがちょっとすごいかも。
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 駅は改札などは無人駅扱いだが、待合室の扉を開けて中に入ると、ちゃんと奥に事務室があって、女の人がひとり座っている。駅舎の看板やなにかから想像すると、この駅では「入場券」が重要な収入源になっているようだ。
 よくある“幸福”だとか“愛国”だとかいう並びで、ここはマザコンの“母恋”なのか、と思ったがどうやらそうではなく、純粋に地球岬訪問記念ということらしい。協力の意味で、一枚買い求めたのが、さて、あれはどこへ仕舞ったんだっけ?
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 そんな道草を食っていたので、雨の交差点へ出ると岬方面へ行くバスがちょうど後ろを見せて出て行くところに間に合わなかった。
 駅から少し離れたバス停は、屋根もなにもなく、建物の脇に置かれたベンチが雨に打たれているだけで、雨宿りをする場所もない。次のバスまでは時間もある。こりゃタクシーでもないと大変だが、どこにタクシーがいるのだろう。ちょうどそこへ、うまいぐあいに反対車線を帰りの空車が通りかかったので手を上げると、Uターンして戻ってきてくれた。
 「まず、トッカリショ岬まで行ってください」というと、その運転手さんはいろいろ尋ねてくる。どこからきたのか、なにしにいくのか、今日はこんな雨で天気が悪いのが残念だ…。そして、こういうのである。
 「いや、たくさんお客さんありますけど、トッカリショを指定するお客さんは初めてですよ。」
 地球岬へくるお客さんに、いつも「トッカリショもいいところなので、すぐ近くだからぜひ寄っていってください」と勧めるのだけれど、まずほとんどの客は地球岬だけ見ると、さっさと帰って行くというのである。
 この運転手さんもそうだが、室蘭市もトッカリショには「岬」をつけないで呼んでいる。まこと、「岬」をつけているのは、国土地理院の地図のみで、他の地図では“トッカリショ海水浴場”とあるだけ(ここは海水浴場が問題なとこじゃないでしょうが…とツッコミを入れたくなる)。室蘭市の建てたでかい「室蘭八景」の看板もシッカリと「トッカリショ」としている。
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 トッカリショ岬の大部分は、むき出しの岩で、付け根に近いてっぺんにだけわずかな緑がある。雨の中、靄もかかっていて、あまりはっきりとはしないが、岬をつくっている岩の壁には、縦じまとともに横じまもあるようだ。細い尾根が長からず短からず、飛び出していて、周囲はすべて断崖絶壁に囲まれ、道もなにもない。北側手前に砂浜も少しだけあるが、北海道としてはあるいはありふれた景色なのか。
 だが、そこから真北には、なかなか見事な岩の海岸線が延びていて、その景色の奥のほうには、イタンキ岬も鷲別岬も、ちゃんと見えている。
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 トッカリショとは、アイヌ語の“トカル・イショ”からきていて、「地名由来板」と銘打った室蘭市の説明によると、それは「アザラシの岩という意味で、いまは岩ではなく漁場そのものを呼んでいる。」とある。この半島一帯は、1880(万延元)年に開かれた鮭の漁場だったという。
 “二つの月”のアイヌの伝説を産んだトッカリショの月明かりは、それは神秘的であったのだろうが、とりあえずは雨を避けながらあたりの景色を眺める。が、やはりレンズに容赦なく雨が降りかかる。
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 「室蘭八景」にあげられているのも、この北側に延びる海岸線も含んでのことで、岬だけに限定せず、この海岸線一帯を“トッカリショ”と呼ぶことにしたという流れも、自然ななりゆきであったのだろう。

▼国土地理院 「地理院地図」
42度18分36.99秒 141度0分38.37秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2011/07/15 訪問)

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タグ:北海道
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