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先島諸島の無土器文化の位置づけは不思議だがいったいどういうものだったのだろうか(25) [石垣島だより]

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 オヤケアカハチ・ホンカワラの本拠地の遺構が、フルスト原遺跡だとする説には異論を強調する専門家もある。その大きな理由は、フルスト原自体にそれを証明する物証が発見されていないことにある。また、土地の古老などの言い伝えにも、それを示唆するものがなにもないことをあげ、琉球の史書「球陽」にある表現も、舟の出入りや荷物の上げ下ろしなどにも、より海に近くて便利なはずの大浜のほうがあっている、そにこそ居城も求められるべきだ、としている。
 具体的に言い伝えから「大浜43番地」あたりをあげている研究者(大濱永直著『八重山の考古学』1999年先島文化研究所)もある。その付近は、390号線が貫き、民家が建ち並んでいるところなので、新たな発掘調査も不可能だろう。
 その説では、オヤケアカハチが大浜を本拠として活動していた頃をその終りに含む12世紀から16世紀にかけてを、“スクの時代”としている。
 その頃は、台湾や大陸との間でスパイスや宝貝(この時代、貝は貨幣替わりに使われる貴重品)などを交易品とする積極的な私貿易(密貿易)が盛んに行なわれた。中国からは、陶磁器が日常雑器として持ち込まれ、スクの遺跡から見つかる中国製陶磁器やその破片は、本島や本土とも比べものにならないほど多彩で大量だという。
 航海術にも長け、船をサンゴ礁の切れ目(裾礁)に入れ、交易品を積み下ろしするスクの周囲は、それなりに栄えていたのだろう。農業と牧畜もあり鉄器も使い、集落には首長をいただき、婦女子は装飾品で身を飾り、本島や明王朝や大和本土とも朝貢関係があったようだ。
 そうした先島文化末期の頂点にオヤケアカハチはいたのだが、1500年の“乱”によって一時代に突然幕が引かれる。それまで保たれていた八重山の独立性は失われ、琉球王朝による密貿易の取締り強化と、住民の強引な移住政策の強要によってスク時代の集落は衰え、活動的な交易集団も急速に姿を消してしまう。
 同じ資料で、その前の時代をみていこう。
 そのスク時代の前から1400年くらい遡った頃から、先島諸島では無土器文化と呼ばれる一時代があった。この時代の文化の痕跡は、シャコガイ製の貝斧や石器や食物の調理に使う焼石などが発見されているように、フィリピンなどの南方諸島とのつながりや類似性が特徴的なのである。
 焼いた石のうえにバナナの葉などにくるんだ食物をのせ土や葉っぱをかぶせて蒸し焼きにする光景は、今でもテレビの南洋ドキュメンタリーなどで見ることがあるが、それと同じような生活を営む人々が、この地域の島々で1000年以上の長期間にわたって暮らしていた。
 では、その前はどうだったのだろうか。
 今から約4000年前〜3300年前頃の遺跡からは、ウシの耳のような取手のついた赤色を帯びた土器が発見されている。この時代も少数だが大陸からの陶磁器が持ち込まれた形跡がある。先島諸島のこの時代の文化は、赤色土器文化といわれるが、この時代とその後に来る無土器文化の時代の間には、約800年ほどの空白期(ミッシングリング)がある。
 無土器文化の時代は、前の赤色土器文化とも直接的なつながりはないうえ、その後にくるスク時代へも継承はなく、無土器人は離散してしまったか、貴重な貝を求めてやってきた外来者に追われて逃避してしまったか、時代は断絶してしまう、まことに不思議な時代があったのだ。
 八重山の調査や考察は、明治期の鳥居龍蔵や大正期の柳田国男が有名だが、戦後の1958(昭和33)になって初めて、各学術分野にわたる総合的な調査が行なわれた。早稲田大学の「八重山学術調査団」の結成派遣がそれであった。これには、当時の早稲田大学の総長が石垣島出身の大濱信泉(1891〜1976)だったことが大きく、この調査によって“早稲田編年”といわれる八重山独自の歴史編年も残し、後の研究に貢献した。石垣港のほど近くに、早稲田大学の時計台を模した記念館ができているが、今回は行く機会がなかった。
 この早稲田編年では、先史時代を12世紀末を境として無土器時代と土器少量時代に分け、その後に多量の海外陶器を含む時代がきた、としていた。
 それが、現在では炭素14測定法による年代測定の結果、“無土器⇒土器少量”ではなく、“土器少量⇒無土器”と逆転してしまったのである。 普通、常識的に考えれば、無土器の後に土器が出てくるというのが当然な流れのように思うのだが、ここでは、土器⇒無土器⇒土器という時系列が存在していたわけで、早稲田大学が間違えるのは無理からぬことであった。
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dendenmushi.gif沖縄地方(2012/01/26 記)

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