So-net無料ブログ作成
検索選択

780 小石ノ鼻=西牟婁郡白浜町塩野・すさみ町周参見(和歌山県)安宅から東へ礫浦の岬は小石の岬 [岬めぐり]

koishinohana01.jpg
 安宅崎の「安宅」は「あたぎ」であって、「あたか」ではない。『紀伊続風土記』の安宅荘の説明では、このようにいう。
 
 …西南は一面海に浜して日置浦・塩野村がここにある。東西長さ五里余り、南北の広さはおしならし二里半ばかり。荘の中に安宅川があって船運の便がよいが、寺山村より上流は渓間が狭く耕田が少ないので、城川荘・市鹿野荘のようではないが、民産が乏しいのを苦しむ。安居村より下流は広くて耕田がやや多いので民産は優れている。日置浦は海口にあるので山中の諸貨がここに集まり、四方に船運の大船が多く、また漁の利があって、この辺の富村である。(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡安宅荘)

 寺山というのは、紀伊日置駅から上流わずか4キロ程度のところである。そこから上流へは、羊腸のように曲がりくねりながら果無山脈という奈良との県境に至るまで、深い熊野の山が続く。一方、河口で熊野水軍の安宅氏が開いたであろう日置の港は、その後商業港として重要な位置を占めてきたようだが、「安宅」の名の由来は、やはりよくわからないらしい。

 …後世、安宅河内守が安宅村に城を築いてこの地を領したときから荘名となったのだ。その名の意味は詳らかでない。本国神名帳に載せるところの安宅比咩神社がこの地に鎮座するのをもって遂に地名となったのか、またこの地に古くから安宅の名があってこの御神がその地に鎮座したのでそれを神名としたか。今、地名を考えると、この荘中の村名に久木村・宇津木村などがあるので安宅もこれらと同じに木の名から起こった称であろうか。(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡安宅荘)


 つまり、「あたぎ」の「ぎ」は、「木」からきたものであろう、というのだ。久木・宇津木のほかにも、安宅崎と小石ノ鼻の間には伊古木という集落がある。木の国だからそれもふしぎはないが、古来日置川が熊野の山からの運搬集積に果たしてきた役割を、はからずもここで考察しているように読めるが、その考え方がでんでんむしがよくやるレベルであるのがおもしろい。
koishinohana03.jpg
 安宅崎では、空はどんよりとして雨が落ち始めていたが、そのすぐ東に位置する小石ノ鼻では、もう一気に雨足が激しくなってきた。日置から歩いていたら、途中からはこの雨の中を歩かなければならないところだった。
koishinohana04.jpg
 前項の『紀伊続風土記』の紹介のなかにも、「安宅川の海口で海上南は礫浦(つぶてがうら)を周参見荘との堺とし」とあったが、安宅崎の西隣の小石ノ鼻という名の小さな出っ張りが、白浜町とすさみ町の町境である。
 小石ノ鼻は、道路からぴょこんと飛び出したような、岩の岬なので、それよりも大きくて堂々とした安宅崎のほうが町境になっていないのが不審に思えるほどだ。
koishinohana02.jpg
 しかし、その岬に続く陸地側の山波を辿っていくと、やはり小石ノ鼻こそが自然地形のつくる町境としてよりふさわしく、当然であることにすぐに気がつく。町境の山を42号線が越えるのは朝来トンネルで、周参見側には朝来と朝来谷という記名もある。ここの「来」も、椿の旧村地名とは異なる「木」なのだろうか。
koishinohana05.jpg
 また、『紀伊続風土記』には、市江の説明のなかに「またこの浦から碁石を産す」との記述があったので、“小石ノ鼻=碁石ノ鼻”という連想も成り立つ。けれども、ここは風土記が「礫浦」というように、“碁石”ではなく単なる“小石”なのであろう。
 田辺から白浜に向かうときのバス停も礫坂だったが、“礫=小石”という関連地名では、東京の“小石川”もそうで、元は“礫川”という川が、神田川に流れていたものである。
koishinohana06.jpg
 タクシーは、安宅崎の手前で折り返し、またきた道を周参見へ戻る。山が海に落ちる途中に、切り込みを入れたようについていて、山側は急傾斜を防護壁が支えている。その道を通って、この日の宿である、周参見の“国民宿舎枯木灘すさみ”に向かう。
koishinohana07.jpg

 ▼国土地理院 「地理院地図」
33度32分48.92秒 135度27分33.02秒
koishinohanaM.jpg
dendenmushi.gif近畿地方(2011/10/05 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ


タグ:和歌山県
きた!みた!印(32)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 32

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。