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801 黒鼻・ウキツ崎=東牟婁郡串本町樫野(和歌山県)海食崖が取り巻く島の北海岸の岬と南海岸には最初の黒船のナゾ [岬めぐり]

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 紀伊大島の26キロの海岸線は、そのほとんどが断崖で、樫野の付近の海は見えている岩礁だけでなく、隠れた暗礁もたくさんあるので、エルトゥールル号の遭難という不運も決して稀なことではなかったようだ。
 島を取り巻く海食崖は、島の北側では30〜50メートルくらいもあり、樫野崎から西を望むと、その崖のなかに黒鼻とウキツ崎というふたつの岬が飛び出している。
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 その先の大森山の北側では、崖の高さは100メートルにも及ぼうかというほどもある。対岸は、串本町の古座川付近で、九龍島という島や箱島など、大小の岩礁や暗礁もある。
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 『紀伊続風土記』では、樫野崎のことを単に「大崎」と称して、次のように書いていた。

○大崎
 村の東の出崎をいう。古座浦で鯨を捕るとき色見をする所である。この辺は島という名が多いけれども、みな海中に隠れ見える岩をいうので記すまでもない。しかしながら漁をする者はこれによって網代とするので各々その名があるのだ。(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡三前郷樫野浦)

 確かに、大島の周辺から対岸にかけて、岩島の名が多い。
 黒鼻・ウキツ崎のずっと西、大島と本土の間に広がる水道の突き当たりには、橋杭岩の一列がわかる。
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 大森山の付近までが樫野で、南は大耳崎のあるリゾート大島のあたりまでが同じ字地名になっている。樫野は、紀伊大島の東端一帯に、北にも南にも断崖をもって広がっている。
 黒鼻の手前には、断崖の凹みにへばりつくようにして漁港もあり、これが樫野集落のただひとつの港らしい。南側の断崖は、30メートルくらいだが、入り組んだでこぼこの岩場が連続し、その一部は海金剛とよばれる、海の景勝地とされているようだ。
 樫野の集落の南端にある、タカノ巣と呼ばれる断崖の付近がそうらしい。今回は、樫野崎の東端までしか行かなかったので、ここは灯台から眺めただけで終わったが、タカノ巣には日米修交記念館というものまであるらしい。樫野はトルコばかりじゃないようだ。タカノ巣は、再び灯台の上からの遠望で…。
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 それにしても、“日米修交”とは、いったいなんぞや。なぜ、こんなところに? いささかナゾである。
 “日米修好条約”は、ペリーの黒船から5年後、1858(安政5)年にタウンゼント・ハリスが代表するアメリカとの間で井伊直弼が結ばされた不平等な通商条約だが、それとは別に遡ること67年も前に、アメリカは通商を求めて日本にやってきて交渉をした、という事実がある。これこそ、日本に来航した最初の黒船とアメリカ人だったのである。
 アメリカの歴史では、日本との通商交渉の最初としては、1791(寛政3)年にジョン・ケンドリックが商船「レディ・ワシントン号」(実際は、もう一隻の僚船があった)で紀伊大島に上陸した、これが日米交渉の端緒だと教科書でも教えている。
 ところが、日本人は誰もそんなふうには教わっていないから、日米双方には67年のずれが最初からあったわけである。案外、こういうことがいまだに日米交渉になにかと影響してきているのかも知れないと考えたりする。
 鎖国体制にまだ揺るぎがない時代、日本としては交渉があったとは認めにくい事情があったことは、容易に想像できるが、それが現在までも尾を引いたままであることに、相互理解の意外な困難さを思う。
 日本では、このアメリカ船「レディ・ワシントン号」は、あくまで遭難して漂着したに過ぎず、住民に毛皮などを売ろうとはしたが売れず、そのまま日本を去った、ということになっている。しかも、ペリーの黒船で騒ぐはるか前のこのことは、日本では教科書にも記されず、日本人のほとんどが知らない。
 ところが、アメリカではケンドリックの紀伊大島への寄航は、当初から交易を明確な目的として日本にやってきた、という。住民に最初に警戒心を与えないように“漂着を装った”という事情や、毛皮の貿易を申し込んだことも文書として残し伝えられてきた。
 ただ、そうであれば、「レディ・ワシントン号」とケンドリック一行は、“漂着する場所”を間違えたかも知れず、市場と商品価値についてはマーケティング・リサーチがなっていなかった。大島では、誰も毛皮を必要としないし、その用途もわからなかっただろうと思う。
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 ペリーの黒船で驚く前にも、実はこんなことがあったという事実を、日本では誰一人情報として活かすことが必要だと理解できなかった。それができていれば、ペリーがきたときにも、もっとうまく対応できたのではないか、などと思ってしまう。

▼国土地理院 「地理院地図」
33度28分29.09秒 135度50分28.18秒ほか
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dendenmushi.gif近畿地方(2011/10/06 訪問)

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タグ:和歌山県
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