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807 耳ノ鼻=東牟婁郡那智勝浦町浦神(和歌山県)ミミなのかハナなのかミミのハナの玉ノ浦では玉が採れた [岬めぐり]

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 玉ノ浦の細長い入江をつくっている名前のない半島の先端には、耳ノ鼻という岬がある。その半島の南側には、そこまで続いてきた人を寄せつけない海岸線の終わりらしく、立岩と岩島の集まった岩礁地帯の雰囲気は、2キロほど離れた下里の海岸から、やっと眺めることができた。
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 耳ノ鼻の沖合いには、立石と白石という岩の島が、玉ノ浦の出入口の目印のように浮かんでいる。その手前にあるのは、イガイ島(同名の島が森戸崎にもあった。)という岩礁で、あたかも耳ノ鼻のコピーのようにして連なる出っ張りは、粉白の岬である。
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 この名のない岬の南の砂浜は、玉ノ浦海水浴場で、「粉白」という地名の由来となった白い砂浜がある。
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 それは、浦神から乗って下里へ向かうバスの車窓から、ちらりと見えた。そのバスを降りたのは、下里大橋を渡る手前。そこから古い家並みの間を抜けて海岸まで出ると、正面に耳ノ鼻が見えてくるのだ。
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 『紀伊続風土記』では、粉白村のところで、玉ノ浦についてなかなか興味深い記事を収録している。

○玉ノ浦
 村の中央より十二町半午未の方にある。ここの磯は大巌で蒼代色粗質である。その石の中から玉石が出るので玉の浦の名がある。玉石は円形黒質で光沢がある。大きなものは鵞鳥の卵のようで、小さな物は鶏の卵のようで、またやや小さなものもある。
 石の中に玉石を□むので往々形を外に顕わすものがある。あるものは半寸、あるものは一寸、あるものは半分、ある物は体皆出るものがあって、時が来て外に□出する。
 その自ずから□出するものはその質は円滑で、これを完璧とする。石を割って出すものは全円を得難い。玉が自ずから□出するのは、多くは風雨のときにある。ゆえに土地の人はこれを候て争い拾うという。
(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡大田荘粉白村)


 ガチョウの卵は見たことがないが、ニワトリの卵よりは何周りか大きいだろう。そんな円形黒質で光沢がある玉石が、嵐の後などにこの海岸で拾うことができる、というのである。
 丸い玉石だけでなく、岩の中に含まれたままのものもあるというから、その玉石の生成過程をも暗示している。
 これこそが「玉ノ浦」の名の由来を明らかにするものだが、これはなかなか珍しい。
 海岸で丸い石が見い出されることは、たまにあることで、たとえば三浦半島の西海岸の久留和付近には“子産石”という丸い石がある。波浪にもまれて砂岩質の柔らかい石が丸くなったものだろう。
 大きいものはサッカーボールくらいあるが、海岸の民家では庭先や門柱の飾りにしたりしている。現在では、もう新たにそんな石が採れるということはなさそうで、そのいくつかの現物とともに、名前だけはバス停の名に残っている。
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 波の永久運動は、奇跡を残す。海岸の岩のくぼみに、小さな丸石ができるという例は、よくある。この運動エネルギーを発電に使うことなど、もっと早く取り組んできてもよかった。
 玉ノ浦でも、残されたのは名前だけで、もはやそんな玉は現れないようだが、ここの玉は“子産石”とは異なり、“岩の中から現れる”というのがユニークである。
 岩の中に丸い石を抱くという話は、高知県の竜串の海岸で見た玉を思い出させる。これをみても、いっこう謎が解決されることはなく、いっそう不思議さがつのるだけだろうが、参考までにリンクボタンを…。
  番外:竜串=土佐清水市竜串(高知県)足摺岬へ来た人の20%しかここまで来ない

▼国土地理院 「地理院地図」
33度33分35.65秒 135度55分23.89秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2011/10/07 訪問)

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タグ:和歌山県
きた!みた!印(35)  コメント(4)  トラックバック(0) 
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きた!みた!印 35

コメント 4

smik

バス停の名前って不思議ですよね。
思いがけず、古い地名がバス停にだけ残ってたりする。。。
それにしても穏やかできれいな海ですね。浸かりたいです。

by smik (2012-06-15 21:19) 

SILENT

コンニチは初めまして
湘南大磯に在住です
近くのバス停に「さざれ石」というバス停があります。照が崎海岸という岩場がありその西は江戸時代から、紀州の殿様や、江戸城にも献上する玉石の名所だったようです。紀伊半島からの海流で運ばれ手くる石もあると云う話を読んだことがあります。多くは丹沢の酒匂川からの石が多いと思うのですが。
石の話面白いですね。
by SILENT (2012-06-17 04:24) 

dendenmushi

@smik さん、コメントありがとうございます。そうですねえ、この辺の海も、潜ってみればおもしろいのかもしれませんね。
バス停の名前は、地図から消えてしまった名前を伝えてくれる、わずかな、細い糸のような…。
「いつだって、次はもう少しうまくいくんだ。きっとね。」
そう思って、岬めぐりも…。
by dendenmushi (2012-06-17 06:21) 

dendenmushi

@SILENT さん、大磯の「さざれ石」のバス停から、バスに乗って帰りましたよ。照ヶ崎を訪ねたときの帰りでした。
あれも、玉石の名所だったのですか。それはそれは…。
さざれ石とは、石が集まって岩になるという例えですから、いわば、「逆もまた真なり」というわけですかね。
“メールアート”ってのがあるんですね。昭和8年の御茶ノ水駅の写真、何年も乗り降りしたこの角度の駅前が、今もそれらしくおもしろかった。
by dendenmushi (2012-06-17 06:35) 

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