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1055 梅ノ木鼻=長崎市香焼町(長崎県)戦時中から埋立で二つの島が一つになり造船所ができてバンバン船を造ってきた [岬めぐり]

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 香焼(こうやぎ)地区は、大きくは香焼島と蔭ノ尾島の二つの島からなり、1898(明治31)年に深堀村から分かれて香焼村となった。深堀とつながって陸続きとなるのは1971(昭和46)年だが、そのずっと前の1942(昭和17)年の埋立てによって、二つの島はつながっていたようだ。
 現在の地図にはもうない蔭ノ尾島というのは、三菱重工業長崎造船所の北側にあった島で、今は造船所の北端に小山が残っている。そこには、長刀鼻と忠エ門落シ鼻という、なにやらいわくありげな名の岬が二つもあるのだが、造船所の敷地に入れないので行くことはできない。だが、見るだけなら長崎港から高島へ行く船に乗れば、その船上から眺められるだろう。
 切り離された岬の由来は、もう誰も語る者も気にする者もいまい。
 蔭ノ尾島には、明治の頃には教会もあったが、1967(昭和42)年に三菱がここに進出することになったときに、地区住民がまるごと香焼島に集団移転して教会も移されたという、いかにも長崎らしい話もある。
 かと思えば、香焼の名は弘法大師が円福寺の裏山で香を焚き護摩密法を修法したという伝説もある。岩壁の窪みには、今でもお香の煙の跡が残っているというのだが、それがこの島のこの村のこの町の名の由来であるという。
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 その香焼教会と円福寺がある香焼の丘が、島のほぼ中央に位置する遠見岳(119メートル)を経て、南東に流れてくる尾根の端っこの小山があり、その先っちょが梅ノ木鼻である。
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 梅ノ木鼻は岩崎鼻と並んで、香焼の港を囲っていた岬で、今ではその先端部まで埋め立てられて、工場のような建物がいくつも建っている。
 ちょうどこの岬の東の対岸が、深堀の呼崎である。この間、500メートル。風がなければ、両側の岬に立った人同士が呼べば応える、互いに声を交わし合うことも充分可能な距離である。
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 遠見岳はその名からは、ここにも遠見番所があったと想像できるが、梅ノ木鼻の小山には、魚見岳公園という公園があるらしい。この小山からは、魚影の探索が行なわれたものだろう。
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 香焼島と蔭ノ尾島の二つの島がつながったのが、戦時中の昭和17年だったというのが意外だったが、よく考えてみれば、長崎周辺の造船に適した臨海部は、当然、戦時船舶の確保のためにフル回転していたのだ。
 三菱以前の香焼では、明治期から造船所があったが、1936(昭和11)年に製缶工場で成功した川南工業が、周囲の島の土地ごと休眠していたそれを買収して造船業に乗り出した。
 戦争が始まると、周囲の四海が戦場または輸送ルートとなり、たちまち船舶が不足する事態となる。当時の造船技術では、船舶の大量生産はできなかったが、川南工業は製缶業での成功と造船業では素人というその両面からこれに挑み続ける。その結果、設計変更や溶接ブロック法、乾ドックでの建造などによって、戦時標準船を大量に造ることに成功したという。
 その川南工業の造船が、この香焼造船所で行なわれ、その量産態勢を整えるために島をつなげる埋立も必要になったものだろう。
 最盛時には1万5000人がここで働いていたといい、大三菱に並ぶ建造量を誇っていた。戦後は休眠倒産し、その後を引き継いだのが、現在の三菱重工業長崎造船所なのである。
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 意外なことはまだあった。かつては一世を風靡した初代南極観測船「宗谷」。この船は、現在は東京お台場は船の科学館で公開されているが、これも香焼造船所で起工されているのだ。
 船の人生というか、そのそれぞれが描いてきた航跡(船歴)は、たいへんにドラマチックなものである。そのことについては、「番外:「かめりあ丸」=東京〜伊豆大島〜神津島航路」 の項でも「ばいかる丸」の話でふれたが、この「宗谷」の歩んできた道は、なんともあきれるほどにものすごい…!
 そもそもはソ連の発注を受けて起工されたこの船が、いろいろあって海軍の特務艦としてサイパンからガダルカナルまで走り回り、戦後は樺太からの引揚船、巡視船として働いたあと、南極観測船となる。
 だが、もはやオングル島からの帰航中に氷に閉じ込められ、ソ連の砕氷船オビ号に助け出されたことなど、もはやはるかに遠く忘れ去られている。それにもまた、ふしぎはない。
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▼国土地理院 「地理院地図」
32.683722, 129.812526
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dendenmushi.gif九州地方(2013/11/04訪問)

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タグ:長崎県 歴史
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