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675 猪ノ鼻=熊野市磯崎町(三重県)覚えてますか「狭いニッポン、そんなに急いでどこへゆく?」 [岬めぐり]

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 JR紀勢本線波田須駅と大泊駅の間は、ほぼ直線で、その95%くらいは2キロ弱大吹トンネルの中である。この上を、北と南にふたつのルートの熊野古道がある。このように、伊勢路の熊野古道は、山越え峠越え向かう方向はひとつだが、ルートは二つ以上あるというところが、ほかにもいくつかある。
 ここでは、南の大吹峠を越えるルートが多少急なのに対し、北のルートはできるだけ緩やか目に道をとってあるように見える。国土地理院の地形図からは、そう読み取れる。
 トンネルと古道の南側には、海に張り出している二つの岬があり、東がカイタロー鼻、西が猪ノ鼻である。
 猪ノ鼻は、漁港と郵便局と神社とお寺の記号がついた磯崎町という小さな町にあり、そこから山道を灯台まで歩くこともできるが、諸般の事情で大泊という隣町から眺めるにとどめることに。
 というのも、大泊の南にある小さな岬が開発されて、防波堤と港ができていて、そこにあるビジネスホテル(と称してはいるが大浴場もありちゃんと食事も提供している)に最終日の宿をとったからであり、翌日は楯ヶ崎や九鬼へ行くという今回の日程上では主要なスケジュールを残していたからである。
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 大泊の駅に降りると、回りでは囲いが巡らせてあって、大がかりな工事が行なわれている。囲いの板には「大吹トンネル(大泊工区)工事だより」という貼紙がしてあって、新しく掘っているトンネルの本坑切羽の写真などが示してある。本坑の掘削進捗率は80%を超えたところで、(残り349m)と赤字で表記してある。
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 近隣への情報公開というわけなのだろうが、なかなかていねいな説明である。
 つまり、現在の311号線と42号線では足りないのか、そのほかにもう一本新しいトンネルを掘っているわけだ。311号線のほうは波田須から磯崎町への道が、地形図で見るとトンネルでバイパスを通したものの、幅員が狭いままで示されている。
 これも尾鷲の盛松にあった土砂処理場、亥が谷トンネルにつながる、熊野尾鷲道路建設工事の一環なのだろうと推測できる。
 道路の整備には、戦後数十年一貫して国を挙げて、猪突のごとく猛進してきた。そのために膨大な予算が消費され、癒着や汚職や政治腐敗、さらには道路を造るのが政治家の仕事のようになるという政治家と有権者双方の意識の劣化をもともないながら高速道路網はでき、鉄道も新幹線網が古い政治家の地元を結びつつ全国を縦貫するに至った。
 一方では、マイカーが国民のささやかな欲望を満たす格好のアイテムとして普及し、同時に自動車産業が国の主要な産業としての位置を不動にしてきた。
 自分がクルマをもたないからだけでなく、そんな経済構造の国であって、ほんとにそれでいいのかという疑問をいだき続けてきた。
 実際、ここ半世紀の間に、全国どこへ行ってみても道路だけは狭い道も舗装が隅々まで行き届き、水溜まりの道や泥んこの道はなくなっている。これもインフラへの投資をたゆみなくやってきたことの成果といえばそのとおりであろう。
 それはそれですばらしいことではあるのだが、みんなが自分の自分だけのアシを持ちたがったために、在来鉄道やバス路線といった公共の交通網がここまで疲弊し縮小することになり、“交通弱者”などという言葉まで登場するようになろうとは、実は想像しなかった。
 なんとなく、公共交通機関に対する信頼は盤石で、常に不動のように感じられたのであるが、それは根拠のない幻想にすぎなかった。
 そして、今また改めて、昔あった交通安全標語が思い起こされたりする。
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 大泊は、熊野市の市街地からは山ひとつ隔てた西にある。普通、こんな場所がビジネスホテルの立地としてふさわしいとは思えないのだが、宿泊客以外でも利用できる大浴場を併設して、繁盛しているようだ。あるいは、これもいくらかは道路トンネル工事と関連があるのだろうか。
 猪ノ鼻は、ホテルからは東南の方角に突き出している。
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 朝は逆光になる位置なので、夕日の中にどうにかその姿を焼き付けるが、灯台まではどうも見えないようだ。
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 小さな岩島がふたつ見えるが、左手前が箱島、右手沖にあるのが魔見ヶ島という。魔見ヶ島とは、鬼ケ城と関係がありそうな名なのか。
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 ホテルのレストランからも部屋の窓からも、猪ノ鼻の暮ゆく姿をゆっくりと眺めることができた。
 右手に視線を転じると、そこは熊野の鬼ケ城のある岬である。徐々に暗くなっていくその中腹から上のほうにかけて、白い帯のようなサクラの塊が長く延びていた。
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▼国土地理院 「地理院地図」
33度53分8.97秒 136度7分50.25秒
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dendenmushi.gif東海地方(2011/04/13〜14 訪問)

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タグ:三重県
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