So-net無料ブログ作成
前の3件 | -

1582 鞍掛ノ鼻=香川郡直島町(香川県)旧石器時代の井島遺跡が物語るものを想像してみる [岬めぐり]

+DSCN0622 (1).jpg
 人が住んでいる北側、島の3分の1ほどは岡山県の玉野市石島になっている井島は、南北に長く山火事で焼けた山肌を晒しつつ、南に行くほど細く狭くなっている。その南端は、二つのコブをもつ出っ張りとなって飛び出している。大きめのコブのほうには灯台が立っていて、鞍掛ノ鼻という名は、南の小さいほうの出っ張りの最南端につけられている。
*DSCN0596 (1).jpg
 鞍掛ノ鼻は切り立った断崖で、その断崖の途中には、ちょうど何かを引っ掛けるのにいいような岩の出っ張りもあったので、これに鞍を掛けるのかと思ったが、そんなことはない。
 鞍掛というのは、鞍を置く台のことなのだから、この二つのコブのある出っ張り全体が、その台のようだということなのだ。
*DSCN0597 (1).jpg
 フェリーはこの鞍掛ノ鼻を、深目の中華鍋のようなゆるいカーブを描きながら、東から西へと回り込んで行く。
 相沢忠洋による岩宿での旧石器の発見から2年後の1951(昭和26)年、この鞍掛の鞍部でも旧石器時代の遺跡が発見されている。井島遺跡と名付けられたこの遺跡からは、石槍や石鏃(せきぞく=ヤジリ)やナイフ形石器など多数の石器が見つかっている。この地域で石器といえば、サヌカイトを連想してしまうが、それと関係あるのかどうかは明確に書かれた情報は見当たらなかった。
*DSCN0623 (1).jpg
 岩宿以前には、日本には旧石器時代はなかったとされていたのだが、現在ではなんと日本列島全体で4000(ええっほんとかよ!)もの遺跡が確認されているのだというのだから驚いてしまう。時期的には、約3万年前から1.2万年前の後期旧石器時代と呼ばれる時代のもので、とすると縄文海進で海域が広がる以前のこの地域は、まだ海ではなかったと想像される。
 約2万年前頃はまだ氷河期で、日本列島が大陸と地続きになっていて、人類もマンモスなどとともに陸続きで渡ってこられた、というのがだいたいの定説のようだが、これにも異論があって、対馬海峡は陸続きにはなっていなかったとする説もあるらしい。1万年前には氷河期が終わって気温も海水面も上昇し始めて、瀬戸内海が形成されたのは6,000年前頃だったとされる。
*DSCN0642 (1).jpg
 大小の島がたくさんある瀬戸内海のこの辺りは、おそらくは陸地で本州と四国も繋がっていたのだろう。
 つまり、現在の風景からは、島に後に遺跡を残す居住地があって、丸木舟で海を往来していたかのような状況を想像してしまいそうだが、実はそうではないようだ。
 さらに想像を膨らませれば、海進によって海に沈んでしまった旧石器時代の居住地跡も多かったのではなかろうか。
 この鞍掛ノ鼻の遺跡は、たまたま山の上で残ったひとつだったに過ぎないのだろう。
 わからないことが多く、専門家は煮え切らないことばかり言ったり書いたりしているようにみえるが、いろいろ大胆に想像してみるのはおもしろい。
+DSCN0576 (1).jpg

▼国土地理院 「地理院地図」
34度28分43.28秒 134度1分13.41秒
スクリーンショット 2019-04-13 10.55.18.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/12 訪問)

@このブログは、ヘッダー、サイドバーをも含めた、全画面表示でみることを大前提としています。スマホでご覧の場合も「表示切替」で「PC」を選んで、画面表示を切り替えてご覧いただけるとうれしいです。
すみません、2019年4月から「きた!みた!印」欄は表示していません。

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ

タグ:香川県
コメント(0) 
共通テーマ:地域

1581 后飛崎=土庄町豊島家浦(香川県)あの豊島産業廃棄物事件の現場はここだった [岬めぐり]

DSCN0586 (1).jpg
 豊島(てしま)のいちばん西の端に、南北に細長い高さ20メートルほどの膨らみがぽこんとある。この丘の上には鉄塔が立っていて、その下の周囲はまだ何かの工事でも始まる前の現場のような雰囲気が漂っている。この丘の北端に、后飛崎という岬の名前がついているが、その名前がどこか使われたりすることはほとんどないようだ。
DSCN0582 (1).jpg
 ここが、史上最悪といわれた産廃不法投棄事件の現場であったらしい。ネットに残るその豊島産業廃棄物事件の記録を拾い読みしてみても、后飛崎は出てこないが、水ヶ浦という名で呼ばれていたのが、岬から東へ続く海岸であった。
 この美しい名をもつ美しい場所が、悪名高い不法投棄事件の現場になったのは、1970年代後半から80年代にかけて、悪質な業者によって不法に大量の産廃が集められ持ち込まれたためだった。島民は住民運動を起こしてこれに対抗しようとしたが、肝心の行政がここにあった古代遺跡まで破壊してゴミため場にしてしまう札付きの業者に無策であるばかりでなく、学者出身の当時の知事と行政が逆に住民運動を牽制して業者に有利な扱いを繰り返してきたことなど、その無責任さと職務怠慢が、問題をさらに大きくし長期間にわたって拗らせてきたと指摘されてきた。
DSCN0583 (1).jpg
 1990年の産廃業者の摘発も、香川県警ではなく兵庫県警によるものだったのは、処理能力の数十倍におよぶ産廃は主に関西地区から集められたものだったためということもあるようだが、この問題を最初に取り上げたメディアも香川や四国ではなく岡山のほうからであったという。
 1997年に業者には破産宣告が出されるが、それでおわらないのが、大量の有害物質を含む残された産廃の処理だった。
DSCN0587 (1).jpg
 住民運動は事件の当初から根気よく県外から全国へ展開され、結果的には半世紀近くもの長い間続くことになるが、その過程で豊島産廃事件は広く大きく注目を集めることになる。公害調停を申請するにあたっては中坊公平氏が住民側の弁護をし、やっと香川県が誤りを認めて調停が終わったのは2000(平成12)年で、残された有害産廃は直島の三菱マテリアルの施設に運ばれて処理されることになった。2017年に無害化処理と撤去はいちおう完了したとされたが、その後また新たな廃棄物が見つかるなど、事件が残した傷跡と影響は大きかった。
DSCN0592 (1).jpg
 この事件でも、遠く離れた傍観者に過ぎなかったので、豊島の位置すらかつての認識からは明確でなく、ましてやその場所が豊島西端の后飛崎にあったことなどまったく意識にもなかった。
 だが、こうして豊島にも岬めぐりでやってきて、通り過ぎて行くフェリーの上からながら、その現場を眺めていると、いくらかその事件の深刻さや、運動当事者の苦労や、悪質業者への怒りや、行政の不適切な対応とそれの始末にかかる膨大な費用などなど、さまざまな不合理さ理不尽さが、層のように積み重なって見えてくるのだ。
DSCN0593 (1).jpg
 これほど各方面に大きな影響をもたらした大事件も、そもそもはたった一人の人間の悪意のある仕業から始まり、その強烈な個性とパワーに適切に対応できずにまたは不適切な対応を繰り返し、無為に年月を経過させ悪化させていく行政の不作為にあったことに、問題の構造的深刻さにあったのだと改めて思わせる。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度28分57.41秒 134度2分13.32秒
スクリーンショット 2019-03-02 9.10.09.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/12 訪問)

@このブログは、ヘッダー、サイドバーをも含めた、全画面表示でみることを大前提としています。スマホでご覧の場合も「表示切替」で「PC」を選んで、画面表示を切り替えてご覧いただけるとうれしいです。
すみません、2019年4月から「きた!みた!印」欄は表示していません。


にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ

タグ:香川県
コメント(0) 
共通テーマ:地域

1580 戸尻鼻=香川郡直島町・玉野市石島(香川県・岡山県)この島のこの岬を県境が通っている [岬めぐり]

*DSCN0561 (1).jpg
 戸尻鼻は井島の北東端に出っ張った、小さくて低い岩の塊のように、地図では見える。そこを豊島家浦港を出たフェリーから眺めているのだが、横から見ているだけなので、小さい岬のうえにその向こう側の島や陸地の景色が重なり合い折り重なって、その先端を判別するにも苦労なほどだ。
*DSCN0562 (1).jpg
 白い灯台が目立つくらいしか手がかりのない風景だが、この灯台があるのは筏島という。この島は井島の戸尻鼻からは、北西940メートルのところに浮かんでいる小さな無人島で、岡山県玉野市に属する。筏島と戸尻鼻の間を塞いでいる山と陸地も、玉野市の出崎半島付近になる。
*DSCN0567 (1).jpg
 井島は、なかなか複雑な状況に位置している。その読みは「いじま」だが、これは香川県側からみた名前で、同じ島が岡山県側からみると石島となり読みは同じく「いじま」。
 南北3.2キロの痩せたサツマイモのような島は、北側3分の1が岡山県で、南側3分の2が香川県。北東端の戸尻鼻と西端のヘラガ崎を結ぶ境界線が、稜線を辿って引かれている。小さな島に県境が引かれているのはめずらしい…と書かれた情報も多いのだが、同じく岡山県と香川県の県境が通っている島には、槌土瀬戸の大槌島のような例もあるので、この海域に関してはそうめずらしいことでもないらしい。

 1346 大崎ノ鼻=高松市亀水町・坂出市王越町木沢(香川県)円錐形の小槌島と大槌島がならぶ景色は人気で…

 その大槌島についても触れた大崎ノ鼻の項目では、讃岐と備前の境界争いの話についても書いていた。
 現在の岡山県と香川県の県境は、この付近の海域では香川県の領域がずっと北寄りに岡山県側に食い込んでいる。それは玉野市からは目と鼻の先にある直島諸島が、そっくり香川県側になっているからで、境界争いの決着をつけるのに、樽を海に流して決められたという話もいかにももっともらしく聞こえる。
 おそらくは、出崎との間の海峡が境界ではなく、島を東西に曲がりくねって分けるこの井島の境界線も、そのときの事情と絡んでの結果なのだろう。
*DSCN0569 (1).jpg
 そして、数少ない住民が住む集落は、岡山県側の石島にしかなく、香川県側の井島はすべて無人地帯となっている。東のフェリーから眺められるのは井島ばかりで、石島は右手の山と戸尻鼻の向こう側になるので見えない。
*DSCN0570 (1).jpg
 井島の山全体が、赤茶けたように見えているのは、2011(平成23)年に起きた山火事のせいだという。何日も燃え続け、島の90パーセントが消失したというこの山火事の発生した日には、船でやってきた男女十数人のグループがバーベキューをしていたことが確認された、という情報はあったがそれっきりで、出火原因や「犯人」についての続報は見当たらなかった。
*DSCN0577 (1).jpg
 現在の島の姿は、8年前の山火事から懸命に回復しようとしている植生の様子なのだ。
*DSCN0579 (1).jpg

▼国土地理院 「地理院地図」
34度30分23.96秒 134度1分24.85秒
スクリーンショット 2019-03-17 8.32.12.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/12 訪問)

@このブログは、ヘッダー、サイドバーをも含めた、全画面表示でみることを大前提としています。スマホでご覧の場合も「表示切替」で「PC」を選んで、画面表示を切り替えてご覧いただけるとうれしいです。

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ

きた!みた!印(17)  コメント(0) 
共通テーマ:地域
前の3件 | -